大きな、入院病棟があるような病院には、院内に床屋さんがあるところもある。
今回入院した東北大学病院にも、やはり床屋さんはあった。
そういうわけなので。
せっかく病院に入院したのだから、院内にある床屋さんで髪を気ってもらわない手はない。
病院の床屋さんなんて、めったに入る所ではないだろう。
ってことで2010年1月9日に病院の床屋さんで散髪。
なんとなく田舎の昔懐かしい散髪やさんを思わせる、この院内の床屋さん。
そう、散髪がふさわしい。カットハウスなんていうのは絶対に似合わないのだ。
おばちゃん二人で3つの椅子を切り盛りしているらしい。
普通の床屋さんと違うのは、定休日が日曜日になっていること。
メニューは散髪。
洗髪も顔剃りも無い。
値段も今の経済状況にありがたい1500円。
もっとも、値段は年代や何かの状況で変化するのだろうけど。
外からのお客さんも受け入れるが、基本的には病院の患者さんや忙しすぎる年配の医師がが中心だろう。
今流行の髪形も関係ない。
おばちゃんの長年の感と感性のみが、売り物だ。
髪を切るのは、さすがに年季が入っている。
今時のロードサイドにあるような、安さと早さだけが売り物の、インチキ臭い横文字の床屋とは全然違う。
どのように切るかと聞かれたので、耳にかぶさらない程度で、後ろは少しバリカンを入れて短めにと、なんとなく一流な注文を着けてしまった。
おまけに分け目はなんとなく今のぐらいにと、訳の分からないような注文である。
軽く霧吹きで髪を湿らせて散髪の開始である。
あくまでも軽くし湿らす程度である。間違っても滴が滴り落ちてはいけないのである。
念には念の入れようである。
同じ所を行ったり来たり、何が気に食わないのであろうか、ちょっとの、ほんの微妙な具合に挟みを入れて行く。
まるで髪の毛1本ずつを切るように。
やっと納得が行ってもらったのであろうか、エプロンを違うのに取り替えた。
はて、もう終わりじゃないのかな?
次は何をするのかな?
ちょっと間を置いて戻って来たおばちゃんの手には顔ブラシとカミソリの顔剃りセット。
あら、裏メニューなの?
おもむろに泡立て、後頭部の裾のあたりに、泡を塗りたくって行く。
あぁ、顔は剃らないけど、裾の仕上げはしてくれるのね。
揉み上げから裾の方にかけて、慎重にカミソリを入れてくれて、ちゃんと蒸しタオルで拭いてくれた。
拭き取りが終わったら、顔剃りセットとタオルを持って裏の方に引っ込んでしまった。
どうやら、その度に片付けをしていくようである。
そりゃそうだ、見習いの若手が先生の横に立って、手伝いをしてくれるような店とは違うのである。
ちょっと間を置いて戻って来たと思ったら、おもむろに挟みに手をかけて、仕上げに入ったのだ。
そういえば、大昔に通っていた正統派の床屋さんは、最後に必ず、もう一度カットの状態を見直して、挟みを入れてくれてたなぁ。
自分の頭も、やっとばちゃんのおめがねにかなったのか、おばちゃんは挟みを置き、エプロンを外してくれ、メガネを取ってくれた。
20分ぐらいで完成。洗髪も顔剃りもないのは願ってもないことだ。
「ありがとうございます、おいくらですか?」
「はい、1500円でございます」
さすがだ、ぼったくりも一切無い明朗会計であった。
自動ドアを開け、店を出る時に、ウインドーに貼ってある「男性カットのみ、1500円」の値段をちゃんと確認した。
あらら、やっぱりカットだったのね。(汗)
The End.
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