会社訪問、面接の時に業種や会社の説明を受けたのだけど、実際に就職してみるまではどのような仕事内容なのかも知らなかった。
簡単に言ってしまうと、検査対象を壊さずに内部を検査するということになるのかな。
その会社は、X線、超音波探傷、磁気探傷を行っていた。検査品目としては他にも歪などがあるのだが、勤めていた会社では行っていなかった。
その会社は検査対象としては、ほとんどが溶接線で、水道管、ガスタンク、石油タンク、燃料配管などであった。
仙台での細かい現場をいくつか経験した後に、先輩と二人で青森ガスの球形タンクの溶接線X検査をした。
その現場は準大手の鉄鋼メーカーが元請となっていて、自分の会社は孫かその下の請負であった。
全数検査だと、X線フィルム何枚になったのだろう。
数十枚ごとに現像し乾燥させておく。何日かに一度、フィルムを検査し不良箇所は溶接の手直しをさせた。
もっとも自分の作業は検査箇所へのX線フィルムの貼り付けと回収であり、まだ検査補助員というような感じである。
大きな構造物ではその外側と内側に分かれての作業となるので、軽く叩いて何種類かの合図を出す。それに併せて、片方はX線装置を設置したり移動させたり、X線を照射させたり。また片方はフィルムを所定の位置に合わせ貼り付けたり、回収したりである。
時々やらかしてしまうのが二重露光。一度照射させてしまったフィルムを間違えてまた撮影に使ってしまうことがある。
それを防ぐためにはがしたフィルムの置き方に工夫をするのだが、ついついうっかりをやってしまう。
その度に撮影しなおしになってしまう。
その現場で知った専門用語というか通り名がある。
※溶接屋さん:電気屋 そのぐらいの規模の溶接は電気溶接であり、電気を扱うから
※グラインダー、バフ掛けをする人:鍛冶屋 グラインダーで火花を飛ばしているから・・・かな。
※検査屋:レントゲン屋 X線検査をするから
その球形タンクを再び見てきた。
ずっと忘れていたのだけれど、青森のライブフェスに行った時に思い出した。
大体の場所は覚えていたが、当時の風景とは結構変わっていた。
偶然、ガス器具などの展示会ということで、ガスタンクの設置されている一画もじっくりと見ることができた。あれから何十年もここに建っていたのかと思うと懐かしいく思えてくる。(笑)
大分仕事にもなれ、X線フィルムによる検査の判断も出来るようになったころに、大きな現場を経験することになる。
当時は宮城県の七ヶ宿ダムから仙台へ水を供給するための大規模な水道施設が整備されていた。
七ヶ宿ダムの麓の白石市辺りでは直径250cmなどという、普通には考えられないような水道管が東北自動車道に沿って埋められている。
直線的な部分では1本が20mぐらいの大きな管が何十、何百本と埋設されている。
この水道管を溶接で接合させるのだが、その溶接部も検査対象である。
その検査のリーダーを自分が勤めた。
若い連中を2、3人連れて、毎日仙台から白石まで通った。
溶接の進み具合で日に3リング、多くても4リングのX線撮影をし、その場で現像、不良箇所のチェックである。
工事は県との入札での契約だったが、現場での溶接部門との契約もあった。順調に工事が終了したときの値段としては入札金額なのだが、溶接の検査としても契約が発生する。
つまり、たまたま腕の悪い溶接屋さんを雇ってしまった場合には、溶接部門へのやり直しが発生する。
その度に再検査になるので、その分はうちの会社の儲けになる。逆に言えば溶接部門の損ということになる。
自分が担当した1工区目は溶接屋さんがひどかった。
なので、工事が進まない。うちの会社はある程度利益を出すことが出来たのではないかな。
何ヶ月か後に担当した別の工区では、さすがに溶接屋さんも腕の良い人をそろえた。儲けは入札で受注した分しか無かったはずだ。(汗)
その他にも、自分が在籍していた2年間では、色々な現場、貴重な体験をした。
宮城県角田市のロケットセンターの燃料噴射試験装置、岩手県営球場の照明塔の支柱、むつ・小川原石油備蓄基地の煙突、ざっと上げただけでもかなりの大きな施設になると思う。
懐かしいものばかりである。
The End.